ブラック企業の深い闇について社労士目線で診断してみる

ブラック企業という言葉、すでに一般的な言葉になりました。

社労士は、企業がブラック化しないようにアドバイスするのが仕事ですが、ブラックに悩む人たちが多いのも現実。

今回はTwitterアカウント「ブラック企業の深い闇」さんのTweetをベースにいろいろ診断してみます。

ブラック企業診断

ブラック企業に関するTweet考察

過労死ライン

 

厚生労働省が提唱している過労死ラインは以下のようになります。

発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働(1日8時間勤務で1か月の労働日を20日とすると。1日4時間の時間外労働をして、1日12時間勤務が続く状態。又は労働日の20日各2時間の時間外労働と、1日10時間勤務で4日の法定外休日出勤という1日10時間勤務が続く状態)が認められる場合。

あるいは発症前1か月間におおむね100時間(1日8時間勤務で1か月の労働日を20日とすると。1日5時間の時間外労働をして、1日13時間勤務が続く状態。又は労働日の20日各2時間50分の時間外労働と、1日10時間50分勤務で4日の法定外休日出勤という1日10時間50分勤務が続く状態)を超える時間外労働が認められる場合をいう。

Wikipediaより引用

確かにこれは一般的な指針です。

Tweetの内容のように、100時間残業しても全然平気な人もいれば、10時間、20時間の残業で倒れてしまう人もいる。

また業種や仕事内容、ストレスの大きさによっても大きく異なります。

責任感が強く、大きなストレスを感じて時間外労働をしている場合、20時間でも過労死してしまうことだって大いに考えられます。

とはいえ、厚生労働省としては、どこかに線を引いて指針を作らなければならないことも事実

確かに人それぞれと言われればその通りなのですが、厚生労働省も過去のデータを検証してこの数字にたどり着いた経緯があるのです。

これからの経営者は過労死ラインは、最低限のデッドラインと捉え、もっと余裕を持たせた労務管理、業務管理を心掛けなければなりません。

人手不足のこのご時世、どうしても労働者への負荷が高まったしまうことが避けられない状況の中、難しい選択肢を迫られることとなります。

ブラック勤め

 

ブラック企業と理解しながら、愚痴りながらも脱出できないという話はよく聞きます。

もちろん、単なる愚痴レベルで特に会社を辞めるほど苦しんでない、困ってるわけではないというのなら大きな問題ではないでしょう。

ですが、明らかな法令違反を繰り返している、精神的、体力的に大きなストレスがかかっているというような会社に勤めているのであれば、早い段階で抜け出すことを推奨します。

先ほどのTweetでもありましたが、残業時間にしても人それぞれ。耐性というのは、人によって大きく異なりがあります。

一緒に愚痴っている同僚は、劣悪な状況でもまだまだ平気なのかもしれません。

同僚は頑張っているのに自分は…といって我慢してしまうと最悪な事態になることだって考えられます。

明らかな法令違反だと感じたら、出来るだけ多くの証拠を残し、できるだけ早く労働基準監督署、弁護士、社労士に相談することを強く勧めます。

スケジュール

 

これはよくできた例えなんですが、さすがにボルトの100メートルの速度でフルマラソンしろという上司はいないでしょう。

ですが、明らかに無理のあるスケジュールを組んでくることはよくある話です。

システムエンジニアの世界ではスケジュールを組む時にWBSというスケジュールを線で表した線表を作成することが一般的ですが、明らかに複数の線が重なっている時などは、このプロジェクト無茶があるよなぁと感じる瞬間です。

部下はサラリーマンであり、ボルトのようなスーパースターではありません。

一人の社員が出来る業務量というのは限られています。

大きなプロジェクトを受注したとき、どうしても無茶なスケジュールを組んでしまいがちですが、明らかに受けられない範囲のプロジェクトは受注すべきではありません。

無茶をしいれば、その分しわよせがどこかにやってくる。

今あるリソースで、受け入れられる仕事量、そして実現可能なスケジュール。

難しいことですが、これをするのがリーダーの役目なのかもしれません。

年金世代

 

ちょっと企業の話からはそれますが、年金の世代間格差は大きな社会問題です。

今のいわゆる団塊の世代と呼ばれた人たちより上の世代は、年金の勝ち組世代と呼ばれています。

早い段階で支払った年金額以上の年金が受け取れたり、60歳からマックスの年金が受け取れる世代もあります。

今の40代以降の人たちは、65歳にならないと年金は受け取れない。

それどころか、さらに年金の支給年齢が70歳、75歳など後ろにずらされる可能性は大いにあります。

さらに年金の負担額は増え続け、1人で3人、1人で4人の老人を支えなければいけない時代が現実にやってきています。

若い世代が年金制度に不満を持つのも仕方ない状況かもしれません。

だからといって、若い世代が自分のお金で高齢者を養っているんだ!と高齢者を攻撃する行為はあまりよろしくないと考えます。

高齢者の世代が、今より休みも少なく労働時間も多く、がむしゃらになって働いて日本を先進国に押し上げてきたのは紛れもない事実。

そんな高齢者と若い世代が共存していく制度を作り上げられればいいのですが、今の年金制度ではなかなかうまくいきません。

今後よりよい年金制度改革が真剣に国会で議論されることを切に望みます。

まとめ

今回は「ブラック企業の深い闇」さんのTweetを取り上げさせていただきました。まことにありがとうございます。

ブラック企業という言葉が一般化していますが、そのおかげで多くの企業で改善の流れが進んでいます。

明らかなブラック企業に勤務しているのであれば、無理をしない、我慢しないでほしいです。

無理をして傷ついてしまうのは、最終的に自分自身ですので。