労使協定って何なのか?
協定っていうくらいだから、何かの取り決めなんだと思うけど・・・
普通に働いている人はほとんど意識してないんじゃないでしょうか?
ですが、裁量労働制を採用するにしても労使協定が必要と書いてある。
てことは、うちの会社でも労使協定って結ばれているの?
そんな疑問に回答してみましょう。
労使協定とは?
労使協定
労使協定は労働基準法には下記のように記されています。
当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定
労使協定という言葉は労働基準法にはなく、労働者の代表と使用者つまりは社長さんとの書面による協定を労使協定と言います。
労働基準法では、就業規則にルールを決めるのはいいけど、これを決めるときは絶対に労働者の同意を得て下さいね。
という決まりがありますので、ルールを決めるとき経営者側が勝手に決められないようにするために必要なのが労使協定ということになります。
ちなみにルールを決めるために労使協定が必要なのはこれだけあります。
- 任意貯蓄(労働者の貯蓄の管理)
- 賃金の一部控除(財形貯蓄とか)
- 1か月単位の変形労働時間制
- フレックスタイム
- 1年単位の変形労働時間制
- 1週間単位の変形労働時間制
- 休憩の一斉付与の例外
- 時間外及び休日の労働(いわゆる36協定)
- 代替休暇
- 事業場外のみなし労働時間制
- 専門業務型裁量労働制
- 時間単位年休
- 年次有給休暇の計画的付与
- 年次有給休暇中の賃金
これらには労基署に届け出が必要なものと、特に届け出が必要じゃないものがあります。
こちらの裁量労働制を採用するためには届け出が必要です。
36協定に関しては、労使協定と労基署への届け出がセットになって初めて有効になります。
ですので、36協定はあるけど労基署に届け出てないよ!という会社はそもそも残業とか休日出勤させることが出来ないのです。
労働者の代表って?
この労働者の代表というのは、労働者の過半数を代表するものとなっています。
つまりは、従業員数20人の会社だったら10人以上の労働者を代表する人の事を労働者の代表と言います。
この過半数は、すべての労働者の過半数ってなってますので、正社員だけでなくパートさんとか管理職の人も含まれるのでご注意下さい。
じゃ、この労働者の代表ってどうやって決めるのさ。
これには一応ルールがあります。
まず労働者の代表は管理監督の地位にあるものはなれません。
労働基準法上の管理監督者を話し出すと長くなるので、ここでは割愛しますが、ようするに結構偉い人。
課長さんとかのレベルではなくて、事業部長さんとか取締役兼務の部長さんとかが該当します。
こんな人たちは労働者側というよりは経営者側の人たちなので労働者の代表って言われても困りますからね。
ですのでまずはこんな人たちを労働者の代表から省きます。
あとは残った人たちで労働者の代表を決めるんですが、これは学級委員と同じような感じと考えて下さい。
投票とか挙手による推薦とかでいいんです。
必ず投票じゃなきゃいけないというわけでなく、労働者の過半数でこの人がいいと思います!と推薦があれば、その人が過半数を代表する人となります。
ただここでこんな疑問がわくと思います。
こんな投票うちの会社やってたっけ?
そうなんです。
過半数を代表する人を選出する投票をキッチリと出来ている会社って意外と少ないのではないでしょうか?
社員全員がほぼ社外に出て働いているような会社だと、そもそも過半数の社員を集める機会が少なくなってしまいます。
そんな会社の場合、過半数を代表する人を複数名の社員で選出し、その後社員に同意を得るという形をとっている会社もあるようです。
労使協定を結ぶには、必ずこの過半数を代表する人がいなければなりませんので、あなたの会社にも必ずいるはずですので、もし知らないのであれば周りの社員に聞いてみるといいでしょう。
労使協定に同意しないとどうなる?
労使協定は、経営者と労働者が同意したことを証明する書面ですので、労働者側が同意しないのであればそもそも成立しません。
例えばうちの会社も有給休暇の計画付与を採用して、年間15日会社側で休む日を決めるぞ!
と社長が言ったとしても、労働者を代表する人が拒めば労使協定は締結されませんので、社長の企画はとん挫します。
ですので、労働者を代表する人は、あまり社長さんに言いくるめられない人の方がいいのです。
明らかに労働者側の不利になる取り決めをするようであれば、この代表者がストッパー的な役割をしなければいけません。
ところが、多くの会社ではこの代表者がお飾り的な立場になっているのが実情です。
法律では、代表者になったことにより、不利な取り扱いをしてはならないと決められているんですが、確かに代表者だからと言って社長にたてつくのは避けたいでしょうからね。
労働者の代表は、会社によっては大きな重圧とストレスを感じる立場になりますので、あまり一人の人に継続してお願いするのではなく、定期的にローテーションすることが望ましいでしょう。
まとめ
労使協定というと難しく感じるかもしれませんが、経営者と労働者が同意する書面ですので、あまり難しいものではありません。
ですが、労使双方にとって非常に大事な取り決めとなります。
そのため、労働者の代表はあまり社会人経験の少ない、またあまり知識が少ない人にお願いするよりも、ある程度経験を積んだ、会社の内情を理解した人を選出するといいでしょう。
ただそんな人は管理監督者になっていたりしますので、選出はなかなか難しいのですが。
労使協定は、いろんなルールを取り決めるとても重要な書類ですので、自分の会社ちゃんと協定結んでる?と不安に感じる人は、会社の総務や人事担当に確認してみましょう。
労使協定は労働者に周知する義務がありますので、知りたかったら閲覧できるようになってるはずですので。