選択式試験の攻略法を実践します

社労士試験の選択式試験は、毎年合格点の補正が行われるほど攻略しにくい試験方式です。

こちらでもお伝えしたとおり、暗記だけではどうにもならない試験なので、どうしても文脈から想像しなければならない。

そんな選択式試験の具体的な攻略法を実践してみます。

選択式試験の攻略法

選択式試験の解き方

まず選択式試験は、このような流れで解答して欲しいと考えます。

  1. 問題文を読み空欄に思い浮かぶ言葉を当てはめる。
  2. 選択肢を読み思い浮かべた言葉と似たような言葉を選ぶ。
  3. 状況に応じて選んだ選択肢をグルーピングする。
  4. 最終的に選択肢を取捨てする。

では、実際に問題を解いてみましょう。

社会保険に関する一般常識の一問目

社会保険労務士法第1条は、「この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適性を図り、もって労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、[ A ]を目的とする。」と規定している。

社労士法の目的条文ですが、目的条文をソラで言えるほど暗記している人にとっては簡単な問題だったでしょう。

ですが、目的条文の選択式問題、いわゆる穴埋め問題だけをやっていた人にとっては、ちょっと悩む問題かもしれません。

まずこの目的条文には3つの目的が記されていることがわかります。

(1)業務の適性を図ること。

(2)それにより労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与する。

とともにもう一つの目的は何?ということなんですが、ここで社労士法といえば、福祉の増進?福祉の向上?というキーワードが入ってたよなぁ~と思いついて欲しい。

そこで福祉に関する選択肢をピックアップします。

③経済及び産業の発展と社会福祉の増進に寄与すること
⑩社会保障制度の健全な発展と福祉の増進を図ること
⑪事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること
⑯児童の福祉の増進を図ること

今回は福祉というキーワードが思う浮かべは、上記4つに選択肢は絞られます。

ですのでグルーピングの作業は不要となり、この4つを取り捨てします。

まず最初に外れるのは⑯。児童はここでは関係ありませんので当たり前。

続いて消えるのは③。経済の発展までを社労士法で目的にすることも無いですよね。

となると残るは⑩か⑪。

⑩は社会保障制度の健全な発展と言っています。

一方の⑪は事業の発展と、労働者の福祉の向上。

どちらが社労士法に相応しいのか?

ここで(2)を思い出すと、労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与すると言っている通り、社会保険労務士に大事な業務は、労働と社会保険なんです。

社会保障制度だけではないということ。

となると、⑩は消え正解は⑪という形で辿り着けるでしょう。

続いてもう一問解いてみます。

労働基準法の2問目

最高裁判所は、労働基準法第39条第項(当時は第項)に定める使用者による時季変更権の行使の有効性が争われた事件において、次のように判示した。

「労基法39条項〔現行項〕ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かの判断に当たつて、[ B ]配置の難易は、判断の一要素となるというべきであるが、特に、勤務割による勤務体制がとられている事業場の場合には、重要な判断要素であることは明らかである。
したがつて、そのような事業場において、使用者としての通常の配慮をすれば、勤務割を変更して[ B ]を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより[ B ]が配置されないときは、必要配置人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできないと解するのが相当である。
そして、年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところである〔……〕から、勤務割を変更して[ B ]を配置することが可能な状況にあるにもかかわらず、休暇の利用目的のいかんによつてそのための配慮をせずに時季変更権を行使することは、利用目的を考慮して年次休暇を与えないことに等しく、許されないものであり、右時季変更権の行使は、結局、事業の正常な運営を妨げる場合に当たらないものとして、無効といわなければならない。」

この問題は選択肢が一つの文章の中で何度も出てくるパターンで、最高裁判所判例からの出題ですので選択肢を暗記している可能性は低い。

ということは、試験を受けている人全員暗記している訳ではありませんので、落ち着いて文章を読み文脈から答えを探していけばいいだけです。

まず~を配置すると言っていますが、これは文章を読んでいけば明らかに選択肢にハマるのは人だということが分かります。

妊産婦がらみの選択肢を除くと人絡みの選択肢は下記。

⑤監督又は管理の地位にある者
⑪事業主のために行為をするすべての者
⑫代替勤務者
⑱非常勤務員
⑲法人の代表者

この問題は管理監督者とか代表者の類の問題では無いことは一目瞭然なので、必然的に⑫と⑱の二択になる。

しかし二択ではあるが、選択肢だけ眺めていると⑫と⑱で悩むかもしれません。

ですが、使用者による時季変更権の行使の問題ですので、人がいないから年次有給休暇取らせないよという問題です。

つまり替わりの人がいないから休み取っちゃダメ!という問題と分かれば、非常の勤務員ではなく代替の勤務者ということがわかります。

ということで正解は⑫。

このように選択式試験は、覚えていないような言葉を選ぶ問題が半分以上出てきます。

ですが、選択肢をグルーピングし、どの言葉が適切なのかじっくりと読み解いていけば、意外と難しい問題は少ないことがわかりますので、あまり警戒しすぎる必要はありません。


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