就業規則で退職は1か月前と規定されてるけど2週間で辞めてもイイの?

先日、ある会社でBBQをやるというのでお呼ばれして参加してきた。

その会社の社長さんがBBQ好きで、わざわざかっぱ橋まで行って、

プロ用の焼き鳥や機器を買ってくるほどのこだわりようw

さんざん食べて飲んでしているさなか、

とある人から転職の相談を受けることになった…

就業規則の規定と民法

相談してきた相手は、お呼ばれした会社が取引している信用金庫の職員の方。

社長さんとは付き合いも長く、10年近くにもなるためBBQなどにも参加する仲なんだそう。

で、その信用金庫の職員さんが、

信用金庫職員「すみません、初対面で申し訳ないんですか社会保険労務士さんなんですか?」

私「あっはい。どうされました?」

信用金庫職員「実は…」

と言って、いきなり右手に紙コップに入ったビール、

左手にいま焼かれたばかりの焼き鳥という状況で相談を受けることになったw

相談の内容は、どうやらその職員は転職を考えているんだとか。

信用金庫って安定しているように見えますが、

近年は金利では利益を得ることが出来なくなり、

保険や証券の売込みばかりが多くなり、ちょっと無茶なノルマも多いらしい。

安定してなくはないんだけど、スキルアップにもならずパワハラ的な扱いも多く、

将来性に不安を感じ転職を考えているんだそうな。

そんな信用金庫職員が天職にかんして不安を感じているのは就業規則。

その信用金庫では、退職の意思は6か月前に伝えないといけない規定があるそうで、

さらに退職が受理されるまでの間に転職活動は禁止されているらしい。

いやいや、そんな業界がまだあるのかいな、とちょっと驚いてしまった。

退職の期限

この話はなんどもしているのですが、まだまだ質問を受ける機会が非常に多いんですね。

それほどみんな複雑で理解しにくい部分なんでしょう。

ですので改めて整理しておきましょう。

まず勘違いしている人が多いのが、自主的な退職。

雇用保険でいう自己都合による退職のことで、早い話が自分から会社辞めたいです!って宣言するケースの事。

これにかんしては労働基準法では、一切期限もなにも規制されていないのです。

労働基準法では、社員が勝手にやめるといったときに制限することは想定してません。

なので自主退職で労働基準法うんちゃらという話にまずなるわけがないんです。

でも確か労働基準法で30日前にとか書いてあったような…

ということを言う方もいますが、

それは会社が社員を辞めさせる「解雇」の規定の事で、自分から辞める場合労働基準法というのは存在からはずしていいでしょう。

それじゃいつ辞めてもイイの?となったときブレーキになるのがこの民法の規定。

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第六百二十七条  当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

なぜか労働問題なのに民法が出てくるからややこしくなるんですね。

民法では会社を辞めたい場合は、2週間前に宣言すればいいですよと規定されてます。

つまりは、すぐにでも会社を辞めたい場合は最低2週間前に会社に伝えればいいことになってます。

就業規則では?

でも就業規則では1か月前には退職の意思を示さなければならないと規定されているとする。

となったとき、どっちの権限が強いの?

民法?就業規則?

どちらが強いと聞かれれば民法の方が強いと考えられています。

過去の判例からもそれは明確。

なので就業規則に1か月前と書いてあっても本気で辞めたい場合は2週間で退職は可能です。

ですが!!

ここ大事!!

就業規則に1か月前と書かれていて、どうしても1か月間は業務の引継ぎをやってくれないと業務が回らない。

このまま辞められると会社に損害が出てしまう。

ってことはよくある話。

ですので、就業規則に1か月前までに宣言してくれとかいてあるのに、

強引に2週間前に辞めたしまった場合、後々損害賠償だなんだという話になる危険性はぬぐえません。

だからこそ!立つ鳥跡を濁さずではないですが、会社を辞める場合は、キレイにやめるべきなんです。

就業規則に1か月前には、と書いてあるのであれば、極力その期間はキッチリお勤めを果たして辞めるべき。

今までお世話になっておきながら、辞めるときだけ民法627条をふりかざすというやり方はスムーズな行為ではありませんよね。

就業規則と民法のどっちが強いというはなしではなく、

会社に迷惑をかけずあとくされなく会社を辞めるすべを模索すべきなんです。

6か月前という期間は妥当?

今回相談を受けた信用金庫の職員からは、退職前6か月前には…という話がありましたが本当なんですかね?

飲んだ席での話だったので、信用金庫の就業規則に目を通してないのでなんとも言えませんが、

6か月前というのはさすがに長すぎます。

長すぎるし、そんな規定がいくらなんでも有効になるはずあり得ません。

民法では2週間となっているのに、1か月でも長い。

まして6か月なんて長すぎるなんてもんじゃない。

も一度自社の就業規則を見直してほしいです。

6か月の規定が有効だ!と考えている労務担当者がいるとすれば、

ちょっと怖いくらいです。

退職前の転職活動は?

さらに退職前に転職活動が禁止されていると言っていましたが、これはさすがに就業規則では定められていないそうです。

これも冷静に考えれば当たり前の話。

職業選択の自由が憲法で定められている限り、転職活動を会社の就業規則でしばることはできないでしょう。

もちろん、情報漏洩、機密漏洩の観点から同業他社への転職、および転職活動は制限されることはあっても

通常の転職活動を禁止することはできません。

まとめ

この手の相談はよく受けるのですが、とにかく会社を辞めるとき揉めないことが重要です。

一度はお世話になった会社です。

そのお世話になった会社を抜けるというときに、

労働基準法だ!民法だ!憲法だ!損害賠償だ!

という明らかに揉める要素満載の用語を並び立てるのは、

火にガソリンをぶちまけるような行為です。

よっぽど悪質なブラック企業から逃げ出すような場合以外は、

穏便に引継ぎをすませキレイに会社を辞めるすべを考えるべきでしょう。

揉めない理由を考える。

揉めないやり方を考える。

それが転職先、独立後のじぶんにも役立つスキルになるはずです。


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