【社労士監修】転職後最低限確認すべき就業規則のチェックポイント

転職したら必ず一通り目を通しておいて欲しいのが就業規則です

長く勤めていた会社を辞めて転職したら、今までの会社とルールが大きく変わっていたというのは当たり前の話です。

就業規則は、会社においては憲法のような役割を果たしますので、このルールに従うことは従業員の勤めです。

とはいえ、就業規則って長々と難しい言葉で書かれていますので、全部目を通すのはかなりの苦痛を伴います。

本業の社労士だって、就業規則をすべてチェックするのは骨が折れる作業です。

ここでは、転職したら必ずチェックしておいて欲しい就業規則のポイントに絞って解説してみます

就業規則のチェックポイント

就業規則の大前提

まず最初に就業規則の3つの大前提を紹介しておきます。

  1. 労働基準法を下回ってはイケない
  2. 10人以上雇用する場合必須
  3. 社員に公開しなければイケない

まず1の労働基準法を下回ってはイケないというのは、簡単に言えば労働基準法に反する規則はその時点で無効ですよということです。

例えば入社6か月後に付与すべき有給休暇は、労働基準法では10日ですが、ウチの会社では5日だから!という規則は無効になります。

続いて2ですが、就業規則は常時雇用する従業員が10人に満たない場合は、作成自体必須ではないということです。

ですので、社員数5人程度の会社の場合、就業規則自体を作成していないケースもありますのでご注意ください。

逆に言えば、パートやアルバイトも含め確実に10人以上働いているのに、就業規則を作っていない場合、それ自体労基法に反する行為となります。

最後に3ですが、ごくまれに社員に就業規則が公開されないという話を耳にするのですが、作成した就業規則は常時社員が閲覧できる場所に配置することが義務付けられています

冊子で配布するなり、事務所の誰でも閲覧できる場所に配置したり、電子ファイルで公開するなり、いずれにしろ社員がいつでも見れる状況になっていないと全く意味を成しません。

この3点には十分ご注意ください。

チェックポイントその1 休暇制度

転職後気になるのはこの休暇制度ではないでしょうか?

週休休暇や特別休暇、忌引きや欠勤など、休暇に対する制度は企業によって大きく異なります。

休暇の日数などは転職サイトなどに掲載されていますし、面接でも確認できると思いますが、細かい制度までは入社してからじゃないと確認できません。

休暇は労働者の権利と、自分自身を守るための大事な制度ですので、キッチリ確認しておきましょう。

休暇制度の中でも特に注意してほしいのが、有給休暇の申請ルールと当日の病欠に関してです

当日の病欠は、一般的には有給休暇で処理される会社が多いのですが、中には当日の申請による有給休暇取得は認めないという会社も存在します。

その場合、当日の病欠は欠勤扱いとなってしまいます。

これは大きな問題ですので、事前に就業規則で確認しておくべきです。

有給休暇に関しては、こちらに詳しく書かれていますのでご参照ください。

有給休暇完全マニュアル!上限は40日?買取は不可?全ての疑問解決

チェックポイントその2 36協定

36協定は、残業できる時間を労働者と経営者で決めるルールです。

36協定には1か月でどれだけ残業できるか?という上限が書かれていますので、これだけは確実に入社後にチェックしておきましょう。

特に2019年4月から36協定の基準はさらに厳格になっています。

従前のルールがそのまま適用されていたりする場合もありますので、十分注意してください。

チェックポイントその3 パート・アルバイト

正社員ではなく、パートやアルバイトで採用される場合も就業規則は十分確認しておきましょう。

パート・アルバイトが正社員と全く同じ就業規則の場合、パート・アルバイトも正社員と同様の待遇を受ける権利が発生します。

昇給や休暇、人事制度など、正社員と同等なのか?パート・アルバイト用の規則が別途存在するのか?

事前に確認しておかないと後々モメることになるかもしれません。

チェックポイントその4 定年制度

定年なんてまだまだ先の話と思っているかもしれませんが、その考えは非常に危険です

60歳、65歳になってそんな話聞いてないよ!という悲痛な叫びを聞くケースはよくあります。

60歳で定年ならその後の再雇用制度はどうなっているのか?

定年退職は65歳なら60歳以降の立場はどうなるのか?

定年制度は、将来の自分の身を守る制度ですので、若いうちから確認しておきましょう。

チェックポイントその5 役職定年

定年と同じくらい大事なのは役職定年制度です。

一般的に大企業と呼ばれる会社は、55歳から早いところだと50歳で役職定年を迎えます。

早い話が55歳になると平社員に落とされて給料が下げられるという制度です

この制度は一気に家計を圧迫する従業員にとって非常にドラスティックな制度です。

お子様の教育費や住宅ローンなどを考慮し、役職定年制度の有無を早めに確認してライフプランを考えておく必要があるのです。

チェックポイントその6 通勤手当

通勤手当もよくもめる制度です。

入社後通勤手当の上限があることを知り、通勤ルートを変更しなければならなかったりとか、一部区間は自腹で通勤していたりという話もよく聞きます。

通勤手当のルールも各社それぞれ異なります。

こちらも自分の権利を守るための制度ですので、キッチリと就業規則で確認しておきましょう。

チェックポイントその7 退職金制度

転職サイトには退職金制度ありという文言がありながら、実は入社後に存在しなかったというケースも実際にあるのです。

退職金は、年金同様老後の身を守る貴重な制度ですので、確実に把握しておくべきです。

退職金制度がある場合、確実に就業規則に記載されているはずです。

記載されている、規定がないのに退職金制度を運用してないというのは非常に悪質な行為ですので、入社後にしっかりと確認しておきましょう。

まとめ

就業規則は会社のルールです。

せっかく入社した会社で気持ちよく働くためにも、入社後に会社のルールはしっかりと理解しておきましょう。

 

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