社労士試験の合格率が2.6%の理由は?補佐人制度なのか?

2015年社会保険労務士試験の合格率は驚愕の2.6%。

これまでの最低合格率が平成25年の5.4%で合格者数は2,666人。

それが2015年は一気に下がり1,051人。前年と比べると3,000人近くも合格者数が減らされる結果になった。

ココまで削減された本当の理由は何なのだろうか?

合格率2.6%の理由

補佐人制度

平成27年の4月に社会保険労務士法が改正され、社会保険労務士に補佐人制度が導入されることになった。

社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができることとすること。

社労士業界の長年の念願である社労士の司法介入が一部認められたのが、昨年の社労士法の改正でした。

その影響で、社会保険労務士試験の合格率が下がったという意見もあるようですが、それって本当なのでしょうか?

確かに補佐人制度が導入されることにより、裁判所において高度な専門的知識を基にした陳述が求められるようになります。

しかもこの制度は特定社会保険労務士のみではなく、すべての社会保険労務士に適用されます。

そのため社会保険労務士の資格を保持するための登竜門である、社会保険労務士試験でフィルターを適用する。

簡易裁判所代理権を有する司法書士試験と同様の難易度を求めるようにしているため、合格率が高くなってしまった。

こう聞くと確かに説得力があるように聞こえます。

ですが、補佐人制度は前述した司法書士の代理権とは大きく意味合いが違います

訴訟代理人と補佐人

訴訟代理人(そしょうだいりにん)とは、訴訟手続において、訴訟代理権を有し、本人のために訴訟追行をする者をいう。

早い話が当事者の代わりに裁判を進めてくれる人が訴訟代理人なんですが、実際訴訟代理人になれるのは弁護士と140万以下の簡易裁判であれば司法書士だけになります。

補佐人というのは、あくまでもその訴訟代理人についていき陳述できる人ですので、真の意味の司法介入とは言えません。

実際、税理士、社労士に補佐人制度が導入されていますが、裁判所が許可した者であれば特に資格が無くても補佐人にはなれますので、今回の社労士法改正でいきなり特別高度な人材を求めるようになったとは考え難いのではないでしょうか?

本当に社労士試験を法定で活躍する高度な知識を求める試験にするのであれば、憲法、民法、民事訴訟法といった法律の知識も求められるような試験に改定する必要があるでしょう。

もしそのような試験に改正されたのであれば、社労士の司法介入も本格化するでしょうから、合格率は司法書士同様に低い数値で固定されていくのではないでしょうか?

ここ3年の合格率は5.4%→9.3%→2.6%と大きく揺れています。

今年もまた2~4%台に固定されるのであれば、今後も社会保険労務士試験は難易度を上げる方向にシフトされるでしょう。

となれば以前から噂されていた社労士試験に憲法、民法と言った科目の追加されていく可能性も否定できません。


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