始業時間前の準備体操
大手自動車メーカーのスズキが始業時間前の準備運動に対して賃金を支払ってなく、労働基準監督署から是正勧告を受けたようです。
自動車メーカーのスズキが労働基準監督署から労働時間の是正勧告を受け、従業員に未払いの賃金約1000万円を支払っていたことがわかった。始業前に任意で約5分間の体操を実施していたが、一部部署で任意参加と伝わっていなかったという。
スズキでは始業時間の5分前に準備運動を実施していたようですが、あくまでも任意での取り組みだったんだそうです。
ですが、全社員に任意と言う旨が明確に伝わってなく、多くの社員は半分強制だと認識していたらしい。
この状況を見て、労働基準監督署はこの準備運動の時間を「暗黙の指示」による労働時間として見直すよう、是正勧告を実施。
これによりスズキは、社員に対して未払い賃金約1000万円を支払ったとのことでした。
果たして「暗黙の指示」って一体何なのでしょうか?
暗黙の指示
その名の通り、文書や口頭で明確に指示してなくても指示されているのと同じように扱うよ!というのが暗黙の指示。
よくあるケースが、始業時間は9時なのに、社員全員が9時前に出社し、朝礼を済ませて業務を開始する。
この事前準備の時間が、明確に指示されていなくても暗黙の了解のようになっていれば暗黙の指示として取り扱われることもあるということ。
ですので、御社で始業時間前に朝礼や体操などを実施しているようであれば、その時間は厳密には労働時間となりますので、その分の賃金を支払うか、始業時間後に朝礼や体操をズラす等の対策を検討することを推奨します。
始業時間前の出勤を指示するのはダメ?
東京都内にオフィスがあるような会社の場合、多くの社員は電車で通勤するでしょう。
その通勤電車ですが、都内であればほぼ毎日遅延します。
そりゃラッシュ時は3分刻みで電車が行き交っているんですから、ちょっとした事で遅れるのは当たり前。
なので電車遅延を理由に毎日毎日遅刻して出社するような社員に対して、余裕を持って出社するように!と指示することはなんら法律違反になることはないといえるでしょう。
ですが、電車遅延を見越して毎日15分前に到着するように!と明確な指示を出している場合は、その15分前が始業時間になると考えられますので注意が必要です。
遅刻に賃金は必要?
そもそも電車遅延で遅刻した社員に対して賃金を支払う必要はあるのでしょうか?
人身事故や信号故障などで電車が大幅に遅延することはよくある話です。
そんな際は鉄道会社から遅延証明書が発行され、多くの利用者はその遅延証明書を会社に提出するはずです。
でもこの遅延証明書ってそもそも何?
鉄道会社がこの証明書を発行したら全ての企業は従わないといけないの。
そうなんです。この遅延証明書って、鉄道会社という企業が発行している証明書にしか過ぎませんので、各企業が受理する義務はありません。
ですので、電車遅延だろうがなんだろうが遅刻は遅刻!ノーワーク・ノーペイだろ!と判断し、遅刻分を減給することは特段問題はないんです。
だけどさすがにそれは厳し過ぎるだろ、と会社側が温情で就業規則に止むを得ない電車遅延の際の条文を記載し、免除してあげているのです。
だからもし就業規則にその旨が記載されていない会社であれば、電車遅延で減給されても仕方ないのです。
なので、多少の電車遅延には動じない時間帯に出社するのは、自分の身を守るため、自分の給料を守るための自己防衛と考えた方がいいでしょう。
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